はじめに
「台所育児って、キッチンで料理を手伝うこと?」
もちろんそれも正解。でも――
キッチンに立たなくても、“料理する気持ち”は育てられます。
ごっこ遊びやお風呂場の水遊び、絵本の読み聞かせ。
そんな日常の中で、子どもは「作る・注ぐ・分け合う」経験を、自然と重ねています。
今回は、遊びと日常がつながる“台所育児”のエピソードをご紹介します。
我が家の娘の紹介
1歳10か月の「ゆいゆい」は、絶賛いやいや期まっただなか。
言葉の発達はちょっと早めなようで、おしゃべりが止まりません。
特に大好きなのは、はたらくくるま。工事現場のショベルカーやクレーン車を見ると、目がキラキラ。
一時期おままごとにはまっていましたが、最近は全くやらなくなりました。
でも、
そんな彼女と過ごす日常には、「食べること」「作ること」の入り口が、あちこちに転がっています。
お風呂場は、“台所育児につながる学びの遊び場”
◆ 濡れても怒られない。だから思いっきり学べる
ある日、思いつきで麦茶をコップに注いでもらおうとゆいゆいに声をかけました。
「このペットボトルから、コップにお茶入れてくれる?」
ほんの軽い気持ちでした。これくらいならできるかも…と。
ところがどうでしょう。
ペットボトルを思いきり傾けた娘。勢いよく出た麦茶にコップが浮いて、ぴょーんと跳ね上がり――
もちろん麦茶はこぼれ放題。
「ちょっと〜!びしょびしょだよ〜…」
つい、小言が出てしまいました。
でも、よく考えると娘はまだ1歳。力の加減もわからないし、何よりお茶を入れること自体が“あそび”になっていたんですよね。
私の声かけにも配慮が足りなかったなと反省し、こう思いました。
「これはもう…お風呂場で練習だ!」
お風呂場のいいところは、こぼしても怒らなくていい場所であること。
ママも自然と寛大になれます。「濡れても楽しい!」くらいの気持ちでOK。
◆ 計量カップ×おままごと=遊びながら学べる
そこで、お風呂におままごとセットを持ち込んでみました。
計量カップ、お鍋、お玉などを使って“水の調理ごっこ”のスタートです。
- 計量カップで水をそ〜っと注ぐ
- ジャバジャバと勢いよく注ぐ
- チョロチョロと糸のように細く流す
こうして水の“量と力加減”のコントロールを、遊びの中で体感していきます。
この感覚が、あとでお茶を注ぐときや、汁物をよそうときに活きてくるのです。
◆ 泡でアイス屋さんごっこも
泡あそびも大好き。
- 「温泡キッズ」の泡スプレーでアイス屋さんごっこ
- ボディソープで泡をたくさん作り、風呂桶の“泡スープ”をお玉ですくってお鍋へ
泡をすくって容器にうつす動作は、後に味噌汁を取り分ける練習にもつながりました。
絵本で“想像のお料理”を楽しむ時間も
お気に入りの絵本『カレーライス』を読みながら、
「この野菜なあに?」「にんじん!」
「切って炒めて〜」「火をつけてグツグツ。おっと!あっちっち〜」
「もう煮えたかな?くんくん…いい匂い〜♡」
と、”読み聞かせの中で“想像の料理ごっこ”を楽しんでいます。
キッチンに立っていなくても、
「おりょうり、してみたい!」
「ほんもののにんじんって、どんなにおいかな…」
そんなワクワクが、自然とふくらんでいきます。
実際のキッチンでは、こんな一幕も
◆ 「これ、ゆいゆいの〜!」盛りすぎ事件
ある日の夕飯。
ゆであがったうどんをザルにあげて冷まし、器を2つ用意して、
「食べたい分を取り分けてみて」と声をかけました。
すると――
娘はうれしそうにザルから手づかみで、どんどん自分のお椀に。
「これ、ゆいゆいの〜!」と、うどん山盛り(笑)
ママは思わず苦笑い。
「ゆいゆいはたくさん食べたかったんだね。でも、ママにも少しわけてくれるとうれしいな」
そう伝えると、少し考えた娘。
今度はなんと、全部ママのお椀にうどんを投入!
「これ、ママのー♡」と得意げな笑顔。
“分ける”ということを、一生懸命に考えているのが伝わってきて、
なんだか胸がじーんとしました。
最後は、「じゃあ、ゆいゆいはこれくらい、ママはこれくらいがうれしいな」と一緒に調整して、うどん分け問題は一件落着。
ほんの取り分けでも、気持ちのやりとりや思いやりの芽が育っていくのを感じた瞬間でした。
おわりに
台所育児は、包丁や火を使わなくても大丈夫。
お風呂、ごっこ遊び、絵本、そしてちょっとしたお手伝い――
どこにでも“お料理につながる入り口”があります。
そして何より、台所を通して育っていくのは、
「自分のために作る」「誰かのために分ける」「ありがとうと言われる」という心。
今日の遊びが、明日の“やってみたい!”を育てていく。
そんな日々を、親子で楽しんでいきたいですね。